YES 読売新聞大阪本社
   
TOP イベントカレンダー 参加者・作品募集 会場マップ 図録販売 チケット情報 終了イベント
聖徳太子1400年の祈りキャンペーン
読売新聞社は、2011年が聖徳太子の1390年ご遠忌おんき に当たるのを機に、法隆寺とともに「聖徳太子1400年の祈り」キャンペーンを、1400年ご遠忌の2021年まで10年かけて行います。太子の教えである「和」の精神を広く伝えていこうとするものです。



法隆寺フォーラム2011

「聖徳太子像(唐本御影)」法隆寺蔵【写真提供:奈良国立博物館】
「聖徳太子像(唐本御影)」
法隆寺蔵
【写真提供:奈良国立博物館】

「聖徳太子1400年の祈り」キャンペーンが始まります。


◆法隆寺と本社 10年間キャンペーン フォーラムや展覧会 震災復興と歩調合わせ
 奈良県斑鳩町の聖徳宗総本山・法隆寺と読売新聞社は、寺を創建した聖徳太子(574〜622)の1400年ご遠忌(おんき)(2021年)に向け、今年から10年間にわたって「聖徳太子1400年の祈り」のキャンペーンを始める。東日本大震災の被災地復興と歩調を合わせながら、太子の教えである「和」の精神を広く伝えていく取り組みだ。
 聖徳太子は、蘇我、物部両氏の抗争を経て、崇峻(すしゅん)天皇が暗殺された翌年の593年に推古天皇の摂政に任命された。憲法十七条の第1条に「和を以(もっ)て貴(とうと)しと為(な)す」を掲げたのは、氏族らが覇権を争うなか、「和」の精神を最も重要なものとし、すべての人々の平穏な生活を願ったからとされる。
 最初の事業となる10月1日の「法隆寺フォーラム2011」(大阪市中央区のNHK大阪ホール)では、元国連事務次長の明石康さんや俳優で国連開発計画親善大使の紺野美沙子さんを招き、グローバルな観点で「和」の力や可能性を未来にどう生かすかを探る。フォーラムは来年9月29日に東京国際フォーラム(東京都)でも開催する。
 また13年以降、同寺に安置される国宝「夢違観音立像(ゆめちがいかんのんりゅうぞう)」などを中心とする展覧会を「太子信仰」ゆかりの地などで開く。
 大野玄妙(げんみょう)管長は「すべての人の幸せを願った太子の心にかなう活動にしたい」と話している。
 同寺は607年に聖徳太子と推古天皇が建立。創建時の若草伽藍(がらん)は670年に火災で全焼し、後に伽藍が再建されたとされる。金堂や五重塔などがある西院は、現存する世界最古の木造建築として知られる。
 寺宝には、鞍作鳥(くらつくりのとり)(止利(とり)仏師)が造った金銅の「釈迦三尊像」や、明治時代まで白布に包まれていた秘仏「救世(くせ)観音立像」など国宝38件がある。1993年、国内で初めて世界文化遺産に登録された寺でもある。

◆日本人の精神性 再構築を
 ◇大野玄妙管長に聞く
 東日本大震災の発生で、自分の家族の安否もわからない被災地の高校生が、地元でボランティア活動に汗を流すなど、みんなが一つになりました。
 仲間意識や団結力といった「和」の心が、まだ日本人に残っていたのです。だからこそ、その心を確かめ、人々の平和観について考え直す必要があります。
 「和」という漢字や考えは、大乗仏教とともに中国から入ってきたものですが、日本人は古来、似たような概念を持っていました。それは自然と調和し、共存するという考え方ですね。早い時期から仏教に接した聖徳太子は、その古来の概念を「和」という言葉とマッチさせたのです。
 日本人は明治維新以降、諸外国に追いつけ追い越せという富国強兵の理念で突っ走ってきました。「和」を重んじる日本人の優れた精神は抑えられ、損なわれたのです。それは太平洋戦争の終戦以降も変わらず、経済大国として一番でないといけないという考えのまま、バブル経済の崩壊まで続きました。
 身近な家族や仲間の苦しみを見ないまま、前ばかり見て進んできたようなものです。昨今、子どもの虐待死など、理解しがたいような事件が次々に新聞やテレビで報じられていますが、それは人々の平和観がぶれてしまっているからだと思います。
 今回のキャンペーンは、単にシンポジウムや展覧会を開くだけではありません。10年をかけて日本人の精神性を見直し、どうあるべきかという心の再構築をしていきたいのです。
 「和」の心を発展させたものが平和です。人によって多少考えの差はあるでしょうが、平和のための大きな流れをつくりたいと思っています。それができれば、世界の平和にもつながっていくと信じています。

◇おおの・げんみょう
1947年、大阪市生まれ。龍谷大大学院修了。法隆寺昭和資財帳編纂(へんさん)所長、同寺執事長、聖徳宗宗務所長などを経て99年4月から現職。
(2011年7月12日:読売新聞大阪本社版朝刊記事より)

2011年10月1日(土)午後1時30分開演 NHK大阪ホール

(大阪市中央区大手前4-1-20)
※アクセス
大阪市営地下鉄谷町線・中央線「谷町四丁目」駅下車すぐ

【主催】 法隆寺、読売新聞社、NHK大阪放送局
【協賛】 大阪青山大学、図書印刷、ビーバンジョア

法隆寺フォーラム2011 開催しました(2011/10/1)


◆法隆寺フォーラム 太子の精神考える
 聖徳太子が説いた「和」の精神の尊さを考える「法隆寺フォーラム2011」(法隆寺、読売新聞社など主催)が10月1日、大阪市のNHK大阪ホールで開かれた。
 太子創建の法隆寺と読売新聞社が1400年御遠忌(ごおんき)にあたる2021年まで行う「聖徳太子1400年の祈り」キャンペーンの第1弾で、約1200人が参加。
 基調講演で同寺の大野玄妙管長は「太子が十七条憲法で提唱した『和を以(もっ)て貴(とうと)しとなす』は現代につながる精神」とし、東日本大震災で多くの義援金やボランティアが集まったことを挙げ、「日本人はまだまだ捨てたものでない。今こそ和の精神を再構築し、より良い形で未来に伝える時期」と呼びかけた。
 大野管長と明石康・元国連事務次長、俳優で国連開発計画親善大使の紺野美沙子さんによるパネルディスカッションでは、「互いに耳を傾けよ、という十七条憲法の内容は、民主主義の精神を既に体現していたとも言える」などと、熱心に意見が交わされた。
 太田宏・読売新聞大阪本社社長は、「大混乱している日本で和を追求する精神は、社会に大きな光を放つ」とキャンペーンの趣旨を説明した。フォーラムは来年9月、東京国際フォーラムでも開く予定。

(2011年10月2日:読売新聞大阪本社版朝刊記事より)

 
 

「法隆寺フォーラム2011」で基調講演
する大野玄妙・法隆寺管長
=枡田直也撮影



法隆寺フォーラム2011 詳報(2011/11/1)


 ◇つながる和のこころ
 聖徳宗総本山・法隆寺(奈良県斑鳩町)と、読売新聞社が、寺を創建した聖徳太子の1400年御遠忌(ごおんき)(2021年)に向けて実施する「聖徳太子1400年の祈り」キャンペーンの第1弾、「法隆寺フォーラム2011」が10月1日、NHK大阪ホール(大阪市中央区)で開かれた。太子が説いた「和」の精神を、現代の日本にいかに生かすか、白熱した議論に、約1200人が聞き入った。

◆主催者あいさつ (太田宏・読売新聞大阪本社社長)
 法隆寺の創建時、国内外で様々な難しい状況がある中で、太子は皆が仲良く、いさかいをしないようにという願いを込めて十七条憲法を作りました。大きな混乱の中にある今の日本においても、「和」を追求する精神は大きな光を放つと思います。

◆基調講演 (大野玄妙・法隆寺管長)
 ◇目標や仲間不可欠
   太子が提唱された「和」の精神は、広く知られる日本の精神文化の一つです。海に囲まれた狭い国土で、人々は自然の恩恵や脅威を共有してきました。限られた資源を分かち合い、助け合う営みの中で、思いやり、いたわり合うという民族性を養い、共生の文化をはぐくんできました。
 太子が学び、研究されたのは大乗仏教の菩薩(ぼさつ)思想です。皆が良い行いを実行し、救われるという考えです。つまり「和」の社会、慈悲の世界に変えていく人作り、国作りをしていくことだった。
 十七条憲法第2条に「あつく三宝を敬え。三宝とは仏・法・僧なり」とあります。大乗仏教では、みんなが仏になることを説いています。仏は、目標であり、理想でもある。法は目的達成のための方法、計画であり、僧は目的達成のために共に助け合う仲間でした。
 「目標や理想」「方法や計画」「仲間」という要素は、人間社会に本来的に必要で国や社会から学校、グループ、家族に至るまで、これらがしっかりしていれば、何事もうまくいくと思います。
 太子は菩薩の行である四摂法(ししょうぼう)(布施(ふせ)、愛語(あいご)、利行(りぎょう)、同事(どうじ))を重視されました。布施は施しで、愛語は優しい笑顔と言葉で接することです。利行は利他の行で、同事は相手の立場になることになります。
 「和」の社会どころか、ばらばらだと思っていた日本人の心が、東日本大震災では直ちに一つにまとまった。教わったわけではないのに四摂法が、自然に実践されたのです。今こそ、日本人の「和」の精神を再構築し、新しいあるべき姿を見いだして、よりよい形で未来につなげる努力をする時期だと思います。


◆パネルディスカッション(元国連事務次長・明石康さん 俳優・紺野美沙子さん 法隆寺管長・大野玄妙さん)

◆明石康さん(元国連事務次長) ◆あかし・やすし
1931年生まれ。
57年に国連に入り、事務次長、カンボジアや旧ユーゴスラビア担当の事務総長特別代表を歴任。
◆大野玄妙・法隆寺管長 ◆おおの・げんみょう
1947年生まれ。
3歳から法隆寺で暮らし、小学3年生で得度。龍谷大大学院修了。93年執事長、99年から現職。
◆紺野美沙子さん(俳優/国連開発計画親善大使) ◆こんの・みさこ
1960年生まれ。
79年にデビュー、テレビや映画、舞台で活躍。国連開発計画親善大使として国際協力の分野でも活動。

 ◇明石さん 太子重んじた傾聴/大野さん 次世代のため動く/紺野さん 絆深める場が必要

 明石
「科学の発達で生活水準が上がった20世紀は、戦争を繰り返した世紀でもあった。21世紀は米同時テロが起き、米国のアフガニスタン、イラクへの攻撃があった。ただ、今世紀こそ人々が国籍、文化、宗教を乗り越えて共通点を発見すべき時だと思います」

 大野
「仏教徒の間では、お釈迦様が入滅されてから約500年ごとに社会の思想や風潮が変動する、という考え方があります。
 諸説ありますが、入滅は紀元前5世紀前後で、500年後に既成の仏教への批判から大乗仏教が成立、西暦500年前後には中国で末法思想を説く人が増えました。1000年頃は日本では貴族社会が混乱して武家社会に移り、その500年後は戦国時代。さらに500年後が今なんです。
 この先、今までと別の通念や習慣が通用することになると思います。よく考えて次の世代のために行動せねばなりません」

 紺野
「開発途上国では生きることがシンプルです。老いて亡くなる時も家で亡くなる人が多い。それぞれの民族、宗教のやり方でお葬式をします。ところが日本では最近、直葬と言って葬儀を一切せず、いきなり火葬しておしまいということが増えているそうです。子どもたちは、人間が年を重ね、亡くなっていくことを、生活の中で実感できなくなっています。
 物や情報があふれ、人間の幸せや豊かさって何だろうと、考えなくなってしまいました。不幸にも東日本大震災が起き、生きるとは何なのか、豊かさや幸せって何だろうと、日本人全てが向き合うことになった時代が今だと思います」

 明石
「カンボジアなどで危機的状況を収拾する際、できるだけ冷静に、自分と違う意見の人の話に虚心坦懐(たんかい)、耳を傾け行動することが鍵になりました。皆の意見をよく聞けということは太子も十七条憲法の中で繰り返し言っている。凡夫といえどきちんとした意見を持っているわけだから、互いによく耳を傾けよう、と太子は言っています。我々が現代に言う民主主義を、太子は自ら体現していたことに感動します」

 大野
「今までの思想や慣習をいきなりやめて、別の角度から見直した生活をしようとしても、なかなかうまくいかないと思います。皆が一緒に、「和」の社会を構成しつつ、どういう方向が一番ふさわしいかを共に考え、見いだしていくことが必要で、最低10年かかると思います」

 紺野
「カンボジアの貧しい村で、日本の援助による井戸を囲み井戸端会議をやっていて、絆を深める社交の場所になっていた。今の日本にも同様の場所が必要では。震災で多くの方が仮設住宅に暮らしておられるが、おしゃべりができる集会所が必要でしょう。
 人間関係が希薄な都心部でも触れ合いの場所づくりが必要です」

 明石
「自分の置かれた場所できちんとした共同体を作ることが大事ですね。言いっ放しでなく、現実を踏まえ、将来を見据えた世論を作り上げるために、もっと議論し合わないと。十七条憲法で聖徳太子が言っておられることです」

 大野
「世界の平和を乱す諸要因の中には宗教の問題もある。原理主義というか行き過ぎた宗教観もありますが、本来、宗教は人が必要として成立したもので、先に宗教ありきではない。押しつけるものでなく、提供するもの。それをしっかり踏まえれば、何が正しく間違っているかが分かるのではないでしょうか」


(2011年10月24日:読売新聞大阪本社版朝刊記事より)



問い合わせ先:読売新聞大阪本社 企画事業部 電話:06-7732-0063
Copyright The Yomiuri Shimbun 2011, All Rights Reserved.